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心のぷりんぷりん。

上肢の骨

 上肢の骨は上肢帯における鎖骨と肩甲骨、自由上肢における上腕の上腕骨、前腕の橈骨と尺骨、手の手根骨(8個)、中手骨(5個)、指骨(基節骨5個, 中節骨4個, 末節骨5個)からなり、これらが左右1対ある。下の表に示す。

骨の名称 特徴
鎖骨 前後に緩やかなS字状をなし、全長を体表から触知できる。内側端で胸骨柄および第1肋軟骨と関節をつくり(胸鎖関節)、外側端で肩甲骨(肩峰の内側面)と関節をつくる(肩鎖関節)。外側1/3の下面に肩鎖関節を補強する烏口鎖骨靭帯が付着する
肩甲骨 大きな三角形の扁平骨。外側角に上腕骨頭が収まる関節窩がある。後面には棘状の構造物(肩甲棘)があり、その外側端から前方へ向かう突起(肩峰)まで体表から触知できる。上縁にある烏口突起もまた鎖骨外側部の直下に触知できる
上腕骨 近位端の上腕骨頭で肩甲骨と球状の関節をつくり(肩関節)、遠位端で尺骨および橈骨と複合的に関節をつくる(肘関節)。肘関節はすなわち上腕骨滑車と尺骨(滑車切痕)の腕尺関節、上腕骨小頭と橈骨(頭)の腕橈関節、そして尺骨と橈骨の上橈尺関節からなり、これらは内側・外側側副靭帯および橈骨輪状靭帯によって補強される
橈骨 前腕の母指側の骨。細くなった近位部の端(橈骨頭)では上腕骨小頭と関節をつくり、太い遠位部の突出した構造(茎状突起)の端で手根骨の舟状骨および月状骨と関節をつくる。尺骨とは近位部と遠位部の2か所で関節をつくり(上橈尺関節下橈尺関節)、またそれらの骨間は線維性の膜(骨間膜)を張る
尺骨 前腕の小指側の骨。太くなった近位部の端には肘頭があり、その前外側面に上腕骨滑車と関節をなす滑車切痕がある。細くなった遠位端は関節軟骨に覆われる。橈骨との関連は上欄に述べた
手根骨 近位列には母指側(橈側)から舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨、遠位列には母指側から大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨がある。豆状骨は尺側手根屈筋腱中にできた種子骨である。手根骨間の滑膜性関節は単一の関節腔を共有し、また多くの靭帯によって補強される
中手骨 第1~5中手骨はそれぞれ母指、示指、中指、薬指、小指に対応し、中手骨頭は各指の基節骨との楕円形の関節、中手指節関節(MP関節, metacarpophalangeal joint)をつくる
指骨 母指は近位から指節骨末節骨、その他の指は基節骨、中節骨、末節骨からなる。これらは母指で指節間関節(IP関節, interphalangeal joint)、その他の指で近位指節間関節(PIP関節, proximal interphalangeal joint)、遠位指節間関節(DIP関節, distal interphalangeal joint)をつくる。指節間関節はいずれも蝶番型で、側副靭帯および掌側靭帯により補強される




上肢帯の筋

 上肢帯を肩甲部と腋窩に分け、それぞれの筋の起始・停止、神経支配、作用を下の表に示す。なお肩甲部浅層にある僧帽筋、肩甲挙筋、小菱形筋、大菱形筋、腋窩後壁にある広背筋は背部>浅背筋に示した。

■ 肩甲部の筋

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
三角筋 起始: 肩甲棘下縁, 肩峰外側縁, 鎖骨(外側1/3)

停止: 上腕骨(三角筋粗面)
腋窩神経[C5, 6] 肩の外転, 屈曲, 伸展
棘上筋 起始: 肩甲棘上窩(内側2/3), 筋を覆う深筋膜

停止: 上腕骨大結節(上部)
肩甲上神経[C5, 6] 肩の外転(初期)
棘下筋 起始: 肩甲棘下窩(内側2/3), 筋を覆う深筋膜

停止: 上腕骨大結節(後面中央)
肩甲上神経[C5, 6] 肩の外旋
小円筋 起始: 肩甲骨後面

停止: 上腕骨大結節(後面下部)
腋窩神経[C5, 6] 肩の外旋
大円筋 起始: 肩甲骨下角後面

停止: 上腕骨前面(結節間溝内側唇)
肩甲下神経[C5-7] 肩の内旋・伸展

■ 腋窩の筋

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
大胸筋 起始: 鎖骨前面(内側1/2), 胸骨前面, 第1~7肋軟骨, 第6肋骨胸骨端, 外腹斜筋腱膜

停止: 上腕骨(結節間溝外側唇)
内側・外側胸筋神経[C5-8, T1] 肩の屈曲・内転・内旋
鎖骨下筋 起始: 第1肋骨(肋軟骨移行部)

停止: 鎖骨下面(中央1/3)
鎖骨下筋神経[C5, 6] 鎖骨の下制, 肩鎖関節の安定
小胸筋 起始: 第3~5肋骨前面・上縁および関連する肋間隙の深筋膜

停止: 肩甲骨烏口突起
内側胸筋神経[C6-8] 肩甲骨の下制, 肩甲骨を前方へ引く
前鋸筋 起始: 第1~9肋骨外側面および同位の肋間隙の深筋膜

停止: 肩甲骨内側縁の肋骨面
長胸神経(C5-7) 肩甲骨の前方移動・回転, 肩甲骨内側縁・下角の胸郭への近接
肩甲下筋 起始: 肩甲下窩(内側2/3)

停止: 上腕骨小結節
上・下肩甲下神経[C5, 6, (7)] 肩の内旋, 肩関節の安定




上腕の筋

 上腕は筋膜が深部へ入り込んでできた膜状の構造物(筋間中隔)によって、いくつかの屈筋(烏口腕筋、上腕二頭筋、上腕筋)がある前区画と、伸筋(上腕三頭筋)がある後区画に分けられる。それぞれの筋の起始・停止、神経支配、作用を下の表に示す。

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
烏口腕筋 起始: 烏口突起先端

停止: 上腕骨体中央部内側
筋皮神経[C5-7] 肩の屈曲
上腕二頭筋 起始: 肩甲骨関節上結節(長頭), 烏口突起先端(短頭)

停止: 橈骨粗面
筋皮神経[C5, 6] 肘の屈曲・回外, 肩の屈曲の補助
上腕筋 起始: 上腕骨前面および近隣の筋間中隔

停止: 尺骨粗面・鈎状突起
筋皮神経[C5, 6], 橈骨神経[C7](筋外側部) 肘の屈曲
上腕三頭筋 起始: 肩甲骨関節下結節(長頭), 上腕骨後面(内側頭, 外側頭)

停止: 尺骨肘頭
橈骨神経[C6-8] 肘の伸展, 肩の伸展・内転(長頭)




前腕の筋

 前腕は(1) 橈骨前縁から深筋膜に至る外側筋間中隔、(2) 橈骨と尺骨に全長にわたって張る骨間膜、(3) 尺骨後縁に付着する深筋膜によって、上腕と同様に前区画と後区画に分けられる。前区画には手指の屈曲や回内を行う筋群、後区画には手指の伸展や回外を行う筋群がある。それぞれの起始・停止、神経支配、作用を下の表に示す。

■ 前区画浅層・中間層の筋

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
尺側手根屈筋 起始: 上腕骨内側上顆(上腕頭), 尺骨後縁・肘頭(尺骨頭)

停止: 豆状骨, 有鈎骨, 第5中手骨
尺骨神経[C7-T1] 手根の屈曲・内転
長掌筋 起始: 上腕骨内側上顆

停止: 手掌腱膜
正中神経[C7, 8] 手根の屈曲
橈側手根屈筋 起始: 上腕骨内側上顆

停止: 第2・3中手骨底
正中神経[C6, 7] 手根の屈曲・外転
円回内筋 起始: 上腕骨内側上顆・上顆上稜(上腕頭), 尺骨鈎状突起内側面(尺骨頭)

停止: 橈骨体中央部外側面粗面
正中神経[C6, 7] 回内
浅指屈筋 起始: 上腕骨内側上顆・尺骨鈎状突起(上腕尺骨頭), 橈骨斜線(橈骨頭)

停止: 第2~5中節骨底掌側面
正中神経[C8, T1] 第2~5指PIP関節・MP関節、手根の屈曲

■ 前区画深層の筋

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
深指屈筋 起始: 尺骨前・内側面, 骨間膜前内側

停止: 第2~4末節骨遠位部掌側面
正中神経(外側部), 尺骨神経(内側部)[C8, T1] 第2~5指DIP関節・MP関節、手根の屈曲
長母指屈筋 起始: 橈骨前面, 骨間膜橈側

停止: 母指末節骨底掌側面
正中神経[C7, 8] 母指IP関節・MP関節の屈曲
方形回内筋 起始: 尺骨遠位部前面

停止: 橈骨遠位部前面
正中神経[C7, 8] 回内

■ 後区画浅層の筋

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
腕橈骨筋 起始: 上腕骨上顆上稜近位部

停止: 橈骨遠位端外側面
橈骨神経[C5, 6] 軽度回内位にある肘の屈曲
長橈側手根伸筋 起始: 上腕骨外側上顆・上顆上稜遠位部

停止: 第2中手骨底背側面
橈骨神経[C6, 7] 手根の背屈・橈側外転
短橈側手根伸筋 起始: 上腕骨外側上顆

停止: 第2・3中手骨底背側面
橈骨神経深枝[C7, 8] 手根の背屈・橈側外転
総指伸筋 起始: 上腕骨外側上顆

停止: 第2~5指の指背腱膜・中節骨底・末節骨底
後骨間神経[C7, 8] 第2~5指の伸展, 手根の背屈
小指伸筋 起始: 上腕骨外側上顆

停止: 小指の指背腱膜
後骨間神経[C7, 8] 小指の伸展補助
尺側手根伸筋 起始: 上腕骨外側上顆

停止: 第5中手骨底内側面
後骨間神経[C7, 8] 手根の背屈・尺側外転
肘筋 起始: 上腕骨外側上顆

停止: 尺骨肘頭後外側面・後面
橈骨神経[C6-8] 回内時の尺骨の外転, 肘の伸展補助

■ 後区画深層の筋

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
回外筋 起始: 上腕骨外側上顆, 外側側副靭帯, 輪状靭帯(上腕頭); 尺骨回外筋稜(尺骨頭)

停止: 橈骨外側面
後骨間神経[C6, 7] 回外
長母指外転筋 起始: 尺骨・橈骨後面およびその近傍の骨間膜

停止: 第1中手骨底外側面
後骨間神経[C7, 8] 母指(手根中手関節)の外転, 母指の伸展補助
短母指伸筋 起始: 橈骨およびその近傍の骨間膜

停止: 母指基節骨底背側面
後骨間神経[C7, 8] 母指MP関節の伸展, 母指(手根中手関節)の伸展
長母指伸筋 起始: 尺骨後面およびその近傍の骨間膜

停止: 母指末節骨底背側面
後骨間神経[C7, 8] 母指の全関節(IP関節, MP関節, 手根中手関節)の伸展
示指伸筋 起始: 尺骨後面およびその近傍の骨間膜

停止: 示指の指背腱膜
後骨間神経[C7, 8] 示指の伸展




手の内在筋

 手の内在筋は短掌筋、第1~4背側・掌側骨間筋、母指内転筋、第1~4虫様筋、母指球筋、小指球筋からなる。前腕に発して手に及ぶ筋群が手の力強い運動を行うのに対して、手の内在筋は手指のより精密な運動を担う。母指球筋と第3・4虫様筋は正中神経、その他の筋は尺骨神経に支配される。それぞれの筋の起始・停止、神経支配、作用を下の表に示す。

 なお、手指は中指から遠ざかる運動を外転、近づく運動を内転とする。すなわち手の指を広げた時、いずれの指も外転していることになる。また中指は内側・外側のどちらの方向への運動も外転とし、それぞれ尺側・橈側外転と呼ばれる。

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
短掌筋 起始: 手掌腱膜, 屈筋支帯

停止: 手の内側縁の皮膚
尺骨神経浅枝[C8, T1] 手の握りを強化する
背側骨間筋(第1~4) 起始: 向かい合う2つの中手骨側面(例えば第1―は母指中節骨内側面と示指中節骨外側面)

停止: 示指(第1―)・中指(第2, 3―)・薬指(第4―)基底骨底・指背腱膜
尺骨神経深枝[C8, T1] 示指・中指・薬指の外転
掌側骨間筋(第1~4) 起始: 母指(第1―)・示指(第2―)中節骨内側面, 薬指(第3―)・小指(第4―)中節骨外側面

停止: 同手指の指背腱膜, 母指基底骨(第1―)
尺骨神経深枝[C8, T1] 母指・示指・薬指・小指の内転
母指内転筋 起始: 第3中手骨(横頭); 有頭骨, 第2・3中手骨底(斜頭)

停止: 母指基底骨底, 指背腱膜
尺骨神経深枝[C8, T1] 母指の内転
虫様筋(第1~4) 起始: 深指屈筋腱

停止: 示指(第1―)・中指(第2―)・薬指(第3―)・小指(第4―)指背腱膜
正中神経(第1・2―), 尺骨神経深枝(第3・4―) IP関節の伸展, MP関節の屈曲

■ 母指球筋

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
母指対立筋 起始: 大菱形骨結節, 屈筋支帯

停止: 第1中手骨外側縁・掌側面
正中神経反回枝[C6, 7] 母指を小指の方へ引く
短母指外転筋 起始: 舟状骨結節, 大菱形骨結節, 屈筋支帯

停止: 母指基節骨, 指背腱膜
正中神経反回枝[C6, 7] 母指の外転
短母指屈筋 起始: 大菱形骨結節, 屈筋支帯

停止: 母指基節骨
正中神経反回枝[C6, 7] 母指MP関節の屈曲

■ 小指球筋

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
小指対立筋 起始: 有鈎骨鈎, 屈筋支帯

停止: 母指基節骨
尺骨神経深枝[C8, T1] 小指を母指の方へ引く
小指外転筋 起始: 豆状骨, 豆鈎靭帯, 尺側手根屈筋腱

停止: 小指基底骨底
尺骨神経深枝[C8, T1] 小指の外転
短小指屈筋 起始: 有鈎骨鈎, 屈筋支帯

停止: 小指基底骨底
尺骨神経深枝[C8, T1] 小指MP関節の屈曲




上肢の神経

 上肢は腕神経叢(C5-T1前枝)の枝に支配される。腕神経叢は頸部から起こり第1肋骨の上を通って腋窩に達する間に上神経幹(C5, 6)・中神経幹(C7)・下神経幹(C8, T1)、さらに外側神経束(C5-7)・内側神経束(C8, T1)・後神経束(C5-T1)へと複雑に分岐・合流し、また複数の枝を出しながら、腋窩動脈を取り囲むように走行する。

■ 神経根~神経幹
 腕神経叢は神経根(脊髄にほど近い領域)で肩甲背神経(C5)と長胸神経(C5-7前枝)を出す。肩甲背神経は中斜角筋を貫いて肩甲骨内側縁に沿って走り、大菱形筋と小菱形筋を支配する。長胸神経は頸部を垂直に下行して腋窩内側壁を下り、前鋸筋を支配する。
 神経根はやがてC5・6線維が合流して上神経幹、C7が中神経幹、C8・T1が下神経幹となり、腋窩に入る。その間、上神経幹は肩甲上神経(支配: 棘上筋, 棘下筋)と鎖骨下筋神経(支配: 鎖骨下筋)を出す。

■ 外側神経束
 外側神経束は上神経幹と中神経幹前部が合流してつくられる。同神経束は外側胸筋神経(支配: 大胸筋)を出した後、筋皮神経正中神経外側根に分かれる。筋皮神経は烏口腕筋を貫いて上腕二頭筋と上腕筋の間を走行し上腕前区画の筋群を支配した後、前腕では外側前腕皮神経として終わる。正中神経外側根は後述の内側神経束の枝と合流して正中神経をつくる。

■ 内側神経束
 内側神経束は下神経幹前部から移行する。同神経束は近位から内側胸筋神経(支配: 小胸筋, 大胸筋)、内側上腕皮神経(支配: 上腕遠位部1/3の内側の皮膚)、内側前腕皮神経(支配: 前腕前面の皮膚)を出した後、尺骨神経正中神経内側根に分かれる。
 尺骨神経は前腕で尺側手根屈筋と深指屈筋(内側半)に枝を出しながら手に入る。同神経は手のほぼ全ての内在筋(母指球筋および虫様筋の一部を除く)と、小指掌側面・環指内側半およびこれらに沿った手掌・手根部、手の内側部背面の皮膚を支配する。
 正中神経内側根は外側神経束の枝と合流して正中神経をなす。正中神経は上腕動脈の前を通って前腕に入り、前腕前区画の大部分の筋群(尺側手根屈筋と深指屈筋内側半を除く)を支配する。さらに手のいくつかの内在筋(母指球筋および虫様筋の一部)と、母指・示指・中指の掌側面、手掌外側部、手根中央部の皮膚も支配する。

■ 後神経束
 後神経束は腋窩動脈の後方で上・中・下神経幹の後部の線維が合流してつくられ、腕神経叢をなすC5~T1すべての線維成分を含む。同神経束は近位から上肩甲下神経(支配: 肩甲下筋)、胸背神経(支配: 広背筋)、下肩甲下神経(支配: 肩甲下筋, 大円筋)、腋窩神経(支配: 三角筋, 小円筋)を出して腋窩後壁の筋群を支配し、橈骨神経に移行する。
 橈骨神経は腋窩から出て上腕・前腕の後区画を走行し、それらの筋群および上腕・前腕の後面、上腕下方の外側面、手背外側部の皮膚を支配する。





下肢の骨

 下肢は上肢と多くの共通する構造をもつ。下肢の骨は下肢帯における寛骨、自由下肢における大腿の大腿骨、膝蓋部の膝蓋骨、下腿の脛骨と腓骨、足の足根骨(7個)、中足骨(5個)、趾骨(基節骨5個, 中節骨4個, 末節骨5個)からなり、これらが左右1対ある。下の表に示す(中足骨および趾骨は省略した)。

骨の名称 特徴
寛骨 上部の腸骨、後下部の坐骨、前下部の恥骨からなる。腸骨上縁は厚く顕著な高まり(腸骨稜)となり、前端は上前腸骨棘、後端は上後腸骨棘といういずれも体表から触知できる構造に終わる。左右の腸骨稜の頂点を結ぶ線(ヤコビー線)は第4腰椎の高さに一致する。左右の恥骨は線維軟骨を介して互いに連結し(恥骨結合)、腸骨、坐骨、恥骨が癒合する寛骨下外側部の臼状の構造物(寛骨臼)で大腿骨頭と球状の関節をつくる(股関節)。また寛骨は腸骨で仙骨と関節をつくり、尾骨と合わせて骨盤を形成する
大腿骨 大腿骨頭から骨頸を経た骨幹の近位端にある大きな隆起(大転子)とその下後方にある小さな隆起(小転子)には股関節の運動に関わる筋群が付着する。遠位端は2つの顆状突起で脛骨と膝蓋骨を加えて関節をつくる(膝関節)。人体で最大の滑膜性関節である膝関節は内側・外側側副靭帯と前・後十字靭帯により補強され、関節腔にはしばしば「半月板」と呼ばれる半月形の2つの線維軟骨(内側・外側半月)が存在する。寛骨との関連は上欄に述べた
膝蓋骨 大腿四頭筋腱の中に形成される、人体で最大の種子骨
脛骨 下腿の母指側の骨。両端は拡大し、近位端は大腿骨と関節を関節をつくり、遠位端の下面および内側の隆起(内果)は足根骨の距骨と関節をつくる。近位端の内側面で腓骨頭と滑膜性でありながら極めて可動性の小さい関節をつくる(脛腓関節)。脛骨と腓骨の骨間には前腕と同様に骨間膜が存在する
腓骨 下腿の小指側の骨。脛骨に比べて細く、遠位端膨大部(外果)の内面は距骨と関節をつくる。脛骨との関連は上欄に述べた
足根骨 近位に距骨と踵骨、中間位に舟状骨、遠位に立方骨と外側・中間・内側楔状骨がある。近位の骨と中間・遠位の骨との関節はショパールの関節、遠位の骨と中足骨との関節はリスフランの関節と呼ばれ、足の切断の際などに用いられる




臀部の筋

 臀部は骨盤と大腿骨近位端の後外側にあって、この部の筋は主に股関節の外転・伸展・外旋を行う。それぞれの筋の起始・停止、神経支配、作用を下の表に示す。

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
梨状筋 起始: 仙骨前面(各仙骨孔の間)

停止: 大腿骨大転子上縁内側面
仙骨神経叢の枝[L5-S2] 股関節の外旋・外転
内閉鎖筋 起始: 閉鎖膜内面, 閉鎖孔周辺

停止: 大腿骨大転子内側面
内閉鎖筋神経[L5, S1] 股関節の外旋・外転
上双子筋 起始: 坐骨棘外面

停止: 内閉鎖筋腱上面, 大腿骨大転子内側面
内閉鎖筋神経[L5, S1] 股関節の外旋・外転
下双子筋 起始: 坐骨結節上部

停止: 内閉鎖筋腱下面, 大腿骨大転子内側面
大腿方形筋神経[L5, S1] 股関節の外旋・外転
大腿方形筋 起始: 坐骨結節前方の坐骨外側面

停止: 大腿骨近位部の転子間稜(方形結節)
大腿方形筋神経[L5, S1] 股関節の外旋
小臀筋 起始: 腸骨上外側面(下殿筋線と前殿筋線の間)

停止: 大腿骨大転子前外側面
上臀神経[L4-S1] 股関節の外転, 歩行時の骨盤の安定
中臀筋 起始: 腸骨外側面(前殿筋線と後殿筋線の間)

停止: 大腿骨大転子外側面
上臀神経[L4-S1] 股関節の外転, 歩行時の骨盤の安定
大臀筋 起始: 中臀筋を覆う筋膜, 腸骨外面, 仙骨下部の背面, 尾骨外縁, 仙結節靭帯外面

停止: 腸脛靭帯後面, 大腿骨近位部(殿筋粗面)
下臀神経[L5-S2] 股関節の伸展, 股関節・膝関節の安定
大腿筋膜張筋 起始: 腸骨稜外縁(上前腸骨棘と腸骨稜結節の間)

停止: 腸脛靭帯
上臀神経[L4-S1] 伸展位での膝関節の安定




大腿の筋

 大腿は筋間中隔によって前区画、後区画、内側区画に分けられる。前区画には膝関節の伸展を行う筋群があり、大腿神経に支配される。後区画は股関節の伸展・膝関節の屈曲を行う筋群があり、坐骨神経に支配される。また後区画の筋群は、しばしばハムストリングスと総称される(これらの腱がハムを作る時にブタのもも肉をぶらさげるのに使われたことに由来する)。内側区画には股関節の内転を行う筋群があり、大部分が閉鎖神経の支配を受ける。それぞれの筋の起始・停止、神経支配、作用を下の表に示す。

■ 前区画

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
腸腰筋(大腰筋) 起始: 後腹壁(第12胸椎~第5腰椎)

停止: 大腿骨小転子
腰神経叢の枝[L1-3] 股関節の屈曲
腸腰筋(腸骨筋) 起始: 後腹壁(腸骨窩)

停止: 大腿骨小転子
大腿神経[L2, 3] 股関節の屈曲
大腿四頭筋(内側広筋) 起始: 大腿骨の転子間線内側部・恥骨筋線・粗線内側唇・内側顆上線

停止: 脛骨粗面(※1)
大腿神経[L2-4] 膝の伸展
大腿四頭筋(中間広筋) 起始: 大腿骨の前面・外側面上部2/3

停止: 脛骨粗面(※1)
大腿神経[L2-4] 膝の伸展
大腿四頭筋(外側広筋) 起始: 大腿骨の転子間線外側部・殿筋粗面外側縁・粗線外側唇

停止: 脛骨粗面(※1)
大腿神経[L2-4] 膝の伸展
大腿四頭筋(大腿直筋) 起始: 下前腸骨棘(直頭), 寛骨臼直上の腸骨(反転頭)

停止: 脛骨粗面(※1)
大腿神経[L2-4] 膝の伸展, 股関節の屈曲
縫工筋 起始: 上前腸骨棘

停止: 脛骨粗面下内側部(※2)
大腿神経[L2, 3] 股関節の屈曲, 膝の屈曲

※1 大腿四頭筋腱は膝蓋骨を覆い、膝蓋靭帯として脛骨に停止する。
※2 縫工筋の停止腱は薄筋、半腱様筋の腱とともに鵞足をつくる。


■ 後区画

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
大腿二頭筋 起始: 坐骨結節上部(長頭), 大腿骨粗線外側唇(短頭)

停止: 腓骨頭
坐骨神経(長頭―脛骨神経, 短頭―総腓骨神経)[L5-S2] 膝の屈曲・(不完全な屈曲位からの)外旋, 股関節の伸展・外旋(長頭)
半腱様筋 起始: 坐骨結節上部

停止: 脛骨近位内側面
坐骨神経(脛骨神経)[L5-S2] 膝の屈曲・内旋, 股関節の伸展・内旋
半膜様筋 起始: 坐骨結節上外側部の圧痕

停止: 脛骨内側顆内側後面の溝と近隣の骨
坐骨神経(脛骨神経)[L5-S2] 膝の屈曲・内旋, 股関節の伸展・内旋

■ 内側区画

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
薄筋 起始: 坐骨枝・恥骨下枝外面

停止: 脛骨体近位部内側面
閉鎖神経[L2, 3] 股関節の内転, 膝の屈曲
恥骨筋 起始: 恥骨櫛(恥骨体の上縁)と近隣の骨

停止: 大腿骨近位部後面
大腿神経[L2, 3] 股関節の内転・屈曲
長内転筋 起始: 恥骨体外面(恥骨結合の外側)

停止: 大腿骨粗線中央部1/3
閉鎖神経(前枝)[L2-4] 股関節の内転・内旋
短内転筋 起始: 恥骨体, 恥骨下枝外面

停止: 大腿骨近位部後面・粗線上部1/3
閉鎖神経[L2, 3] 股関節の内転
大内転筋(内転筋部) 起始: 坐骨恥骨枝

停止: 大腿骨近位部後面・粗線・内側顆上線
閉鎖神経[L2-4] 股関節の内転・内旋
大内転筋(ハムストリング部) 起始: 坐骨結節

停止: 大腿骨内転筋結節・内側顆上線
坐骨神経(脛骨神経)[L2-4] 股関節の内転・内旋
外閉鎖筋 起始: 閉鎖膜外表面と近隣の骨

停止: 大腿骨転子窩
閉鎖神経(後枝)[L3, 4] 股関節の外旋




下腿の筋

 下腿は下腿骨間膜や筋間中隔によって前区画、外側区画、後区画に分けられる。前区画には足の背屈・内反および足趾の伸展を行う筋群があり、総腓骨神経の枝である深腓骨神経に支配される。外側区画には足の外反を行う長・短腓骨筋があり、総腓骨神経の枝である浅腓骨神経に支配される。後区画には足の底屈・内反および足趾の屈曲を行う筋群があり、脛骨神経に支配される。それぞれの筋の起始・停止、神経支配、作用を下の表に示す。

■ 前区画

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
前脛骨筋 起始: 脛骨外側面と近傍の下腿骨間膜

停止: 内側楔状骨および近傍の第1中足骨の底面
深腓骨神経[L4, 5] 足の背屈・内反, 内側縦足弓の動的支持
長母指伸筋 起始: 脛骨内側面中央部と近傍の下腿骨間膜

停止: 母趾末節骨底の背面
深腓骨神経[L5, S1] 母趾の伸展, 足の背屈,
長趾伸筋 起始: 脛骨内側面近位部, 脛骨外側顆

停止: 第2~5中節骨底・末節骨底の背面
深腓骨神経[L5, S1] 第2~5趾の伸展, 足の背屈
第三腓骨筋 起始: 脛骨内側面遠位部

停止: 第5中足骨底の背内側面
深腓骨神経[L5, S1] 足の背屈・外反

■ 外側区画

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
長腓骨筋 起始: 腓骨上部外側面, 腓骨頭と近傍の下腿筋間中隔

停止: 内側楔状骨遠位端, 第1中足骨底
浅腓骨神経[L5-S2] 足の外反・底屈, 足弓の支持
短腓骨筋 起始: 腓骨骨幹外側面

停止: 第5中足骨底の外側結節
浅腓骨神経[L5-S2] 足の外反

■ 後区画

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
腓腹筋 起始: 大腿骨内側顆の直上(内側頭)・外側顆の上後外側面(外側頭)

停止: アキレス腱を介し踵骨後面
脛骨神経[S1, 2] 足の底屈, 膝の屈曲
足底筋 起始: 大腿骨外側顆上稜下部, 斜膝窩靭帯

停止: アキレス腱を介し踵骨後面
脛骨神経[S1, 2] 足の底屈, 膝の屈曲
ヒラメ筋 起始: 脛骨ヒラメ筋線・内側縁, 腓骨頭後面・腓骨頸・腓骨体近位部, 脛骨-腓骨間の腱弓

停止: アキレス腱を介し踵骨後面
脛骨神経[S1, 2] 足の底屈
膝窩筋 起始: 大腿骨外側顆

停止: 脛骨近位部後面
脛骨神経[L4-S1] 膝関節の安定
長母趾屈筋 起始: 脛骨後面と近傍の下腿骨間膜

停止: 母趾末節骨底の足底面
脛骨神経[S2, 3] 母趾の屈曲
長趾屈筋 起始: 脛骨後面の内側部

停止: 第2~4末節骨底の足底面
脛骨神経[S2, 3] 第2~5趾の屈曲
後脛骨筋 起始: 下腿骨間膜後面と近傍の脛骨・腓骨部位

停止: 舟状骨粗面と近傍の内側楔状骨部位
脛骨神経[L4, 5] 足の内反・底屈, 内側縦足弓の動的支持




足の内在筋

 足の内在筋は短趾伸筋を除きすべて底側にあり、足の微細な運動を行う。またこれらは深腓骨神経に支配される短趾伸筋および背側骨間筋の一部を除き、脛骨神経の内・外側足底枝に支配される。それぞれの筋の起始・停止、神経支配、作用を下の表に示す。

筋の名称 起始・停止 神経支配 作用
母趾外転筋 起始: 踵骨隆起の内側突起

停止: 母趾基節骨底の内側面
内側足底神経[S1-3] 母趾の外転・屈曲
短趾屈筋 起始: 踵骨隆起の内側突起, 足底腱膜

停止: 第2~5中節骨の足底面
内側足底神経[S1-3] 第2~5趾PIP関節の屈曲
小趾外転筋 起始: 踵骨隆起の内・外側突起, 踵骨-第5中足骨底間の結合組織

停止: 小趾基節骨底の外側面
内側足底神経[S1-3] 小趾の外転
足底方形筋 起始: 踵骨内側面, 踵骨隆起の外側突起

停止: 長趾屈筋腱外側面
外側足底神経[S1-3] 第2~5趾の屈曲補助
虫様筋 起始: 第2趾に付随する長趾屈筋腱内側面(第1―), 向かい合う2つの長趾屈筋腱の側面(第2~4―)

停止:
内側足底神経(第1―), 外側足底神経(第2~4―) MP関節の屈曲, IP関節の伸展
短母趾屈筋 起始: 立方骨・外側楔状骨の足底面, 後脛骨筋腱

停止: 母趾基節骨底の内・外側面
内側足底神経[S1, 2] 母趾MP関節の屈曲
母趾内転筋 起始: 第3~5趾MP関節に付随する靭帯(横頭), 第2~4中足骨底・長腓骨筋腱鞘(斜頭)

停止: 母趾基節骨底の外側面
外側足底神経[S2, 3] 母趾の内転
短小趾屈筋 起始: 第5中足骨底と近傍の長腓骨筋腱鞘

停止: 小趾基節骨底の外側面
外側足底神経[S2, 3] 小指MP関節の屈曲
背側骨間筋 起始: 向かい合う2つの中足骨の側面

停止: 第2~4趾の趾背腱膜・基節骨底
外側足底神経, 深腓骨神経(第1・2―の一部) 第2~4趾の外転, 第2~4趾のIP関節屈曲・MP関節伸展への拮抗
底側骨間筋 起始: 第3~5中足骨内側面

停止: 第3~5趾の趾背腱膜・基節骨底
外側足底神経[S2, 3] 第3~5趾の内転, 第3~5趾のIP関節伸展・MP関節屈曲への拮抗
短趾伸筋 起始: 踵骨上外側面

停止: 母趾基節骨底(短母趾伸筋), 第2~4趾長趾伸筋腱外側面
深腓骨神経[S1, 2] 母趾MP関節の伸展(短母趾伸筋), 第2~4趾の伸展




下肢の神経

 下肢は後腹壁と骨盤の後外側壁にある腰神経叢(L1-3前枝, L4前枝の一部)および仙骨神経叢(S1-3前枝, S4前枝の一部)に支配され、その主要な枝に大腿神経閉鎖神経坐骨神経上臀神経下臀神経がある。

 大腿神経(L2-4前枝)は腹部から鼡径靭帯と骨盤上縁の間隙を通って大腿三角に入る。同神経は大腿前区画の筋群と大腿前面、膝の前内側、下腿・足の内側の皮膚を支配する。

 閉鎖神経(L2-4)は後腹壁に沿って下行し、骨盤腔から閉鎖管を通って大腿に入る。同神経は大腿内側区画の筋群(大内転筋の一部と恥骨筋を除く)と大腿上部内側の皮膚を支配する。

 坐骨神経(L4-S3)は梨状筋の下方で大坐骨孔を通って骨盤を出て臀部を通り、大腿の後区画に入る。同神経は大腿後区画の筋群、大内転筋の一部、下腿・足の筋群、下腿・足の外側および足底の皮膚を支配する。
 坐骨神経は末梢神経としては人体で最も太く、大腿の後区画において(しばしばかなり近位から)さらに主要な2本の神経、脛骨神経総腓骨神経に分かれる。脛骨神経は膝窩を垂直に下行し、下腿では主に後区画の筋群を支配する。総腓骨神経は膝窩の下外側縁上を大腿二頭筋腱に沿って伸び、前区画・外側区画の筋群を支配する。総腓骨神経はその後さらに、長腓骨筋の深層を下行する浅腓骨神経と、筋間中隔を貫いて下腿の前区画に入る深腓骨神経に分かれる。

 上臀神経(L4-S1)と下臀神経(L5-S2)は梨状筋のそれぞれ上方と下方で大坐骨孔を通って骨盤を出る。これらは臀部の主要な運動神経である。下肢の神経には他に外側大腿皮神経、内閉鎖筋神経、大腿方形筋神経、後大腿皮神経、貫通皮神経、腸骨鼡径神経、陰部大腿神経がある。